先日、あるニュース記事が目に止まりました。「視覚障害者の5割が投票に難点を感じている」という調査結果です。
記事によると、投票所へのアクセスや移動手段の少なさが課題として挙げられていましたが、当事者として現場に行くと、数字には表れない「もっと精神的なバリア」があることを痛感します。
今回は、ある視覚障害者の方が実際に選挙管理委員会へ要望を出し続けていること、そして実際の投票所で起きている「プライバシー侵害」の現実についてお話しします。
ニュースが伝える「5割の壁」

報道の要約
- 視覚障害者の半数超が、投票に何らかの問題があると回答。
- 「投票所が遠い」「行く手段が少ない」などが主な理由。
- 障害者差別解消法で合理的配慮が義務化されている中、支援のあり方が問われている。
確かに移動のハードルは高いです。しかし、やっとの思いで投票所にたどり着いた先で待っているのは、別の意味での「戦い」でした。
現場で起きている「バタバタ」と「大声」
これまで、何度も選挙管理委員会に要望を伝えてきました。先日も予算要望会に参加し、郵便投票の対象拡大や代理投票の改善、支援ツールの導入をお願いしたばかりです。 (一部、音声コードの添付や点字表示など、対応していただいた部分もありますが、予算を理由に導入が進まないツールもまだ多いのが現状です。)
しかし、ハード面(道具)以上に深刻なのが、**ソフト面(人の対応)**です。
実際に投票所に行くと、視覚障害者が来たというだけで、職員の方が明らかに動揺し、「バタバタ」と慌ただしくなるのが分かります。 「対応がわからない」「どう案内すればいいの?」という空気が伝わってくると、こちらは「迷惑をかけているのではないか」と申し訳ない気持ちになってしまいます。
プライバシーゼロの「復唱」
もっとも辛いのが、**「大声での復唱」**です。
本人確認や代理投票の際、職員の方が確認のために内容を復唱されるのですが、それが周りに丸聞こえの大声なのです。
- 私の名前や住所
- 誰に投票しようとしているか
- どんな支援を求めているか
これらが周囲の人に筒抜けになってしまいます。「投票の秘密」という民主主義の大原則以前に、個人のプライバシーが全く守られていません。
周囲の視線を感じながら、「恥ずかしい」という思いをしてまで投票しなければならない。 「行きたくない」と思ってしまう人が多いのも、この心理的な負担が大きな原因ではないでしょうか。
「ちゃんとしてくれる」ことは稀
記事には「80の不便」という言葉がありましたが、現場では「ちゃんとした対応」を受けられることの方が稀です。
「自力でできることはやりたい」 「でも、見えない部分はさりげなくサポートしてほしい」
この当たり前の願いが、現場のパニック対応と大声によってかき消されてしまいます。
私たちが求めているのは「特別なこと」ではない
選挙管理委員会には、新しいツールの導入ももちろんお願いしたいですが、それ以上に**「現場スタッフへの教育」**を強く求めたいです。
- 耳元で静かに確認する。
- 筆談ボードや指差しを活用する。
- 障害者が来ても特別視せず、落ち着いて案内する。
これらは予算がなくても、今すぐできる「合理的配慮」のはずです。
障がい者も、一人の有権者として、堂々と、そして静かに一票を投じたい。ただそれだけなのです。
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